今年もクリスマスがやってきた。しかし街を満たす浮かれ気分とは裏腹に、悲しい知らせが飛び込んできてしまった。誰がこんな悲劇を予想しただろうか。
サンタクロースのトナカイが、亡くなったのである。
12月23日の午後8時頃、倉庫に山積みになっていたプレゼントをサンタ氏がそりに積み込んでいる最中に山が崩れ、トナカイが下敷きになったそうである。サンタ氏が生き埋めになったトナカイに声をかけても返事がなかったという。同日午後11時、搬送先の病院で死亡が確認された。
一頭の動物に過ぎないトナカイにとって世界中の子どもたちにプレゼントを配るという仕事は非常に過酷な労働であったことは想像に難くない。サンタ氏は語る。「彼は子どもたちにプレゼントを配ることに喜びと生き甲斐、そして使命感を持っていた。この年に一度の大切な時期に私のミスによって彼の生命を奪ってしまったことは非常に悔やまれる」
トナカイの死去を受けて、サンタ氏は本日夜と次年度以降のプレゼント配達をどうするか途方に暮れている。亡くなったトナカイはよく知られているように真っ赤な鼻がライトとして機能するという特長を持っていたが、さらに数億のプレゼントをそりで引きながら超高速で空を飛行するという希有な能力を持っていた。そのようなトナカイは他にいないのではないか、という絶望感がサンタ氏の心を覆っている。
識者の間では、この度のトナカイの急逝によってサンタ氏がプレゼント配達の仕事を引退し、クリスマス自体が消滅してしまうのではないかとする見方が強まっている。
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