いよいよ今年も、梅雨に入ったようです。
知らない人のために説明すると、梅雨というのは、五月から六月くらいにかけて、連日雨ばかりが降る一定期間のことを言います。暑い夏にそなえてダムに水をためる絶好の機会ではあるのですが、いかんせん、じめじめしてて鬱陶しい時期です。
雨を防ぐためには、傘という道具があって、わたしたちはこれを用いるわけですが、しかし、ひとつ言いたいことがある。言わねばならないことがある。
傘って、雨を防ぎきれてないよね?
いや、わかっています。これが非常に空気を読めてない発言であることは、承知しているのです。これだけ世界中で雨対策として傘が使われており、とりたてて不平も出ていないなかで、こんなことを言うのは、実に不適切だとは思うのです。
しかし、傘をさしたところで、はっきり言って、お腹から下あたりはそこそこ濡れますし、足下なんか、かなりびしょ濡れになります。完全に無傷で済んでるのは顔と肩と胸くらいではないでしょうか。畳むときには、結局手も濡れますしね。
いえ、わかっているんです。そのくらい、許容すべき、妥協すべきことだってこと、わかってるんです。これまでの人類史において、人々はみな、このくらいのことは多めに見て、がまんしてきたのだ。そのくらい、濡れたうちに入らんのだ。上半身がほぼ濡れてないなら、それで十分じゃないか。そう思って、傘のお世話になってきたのでしょう。実際、わたしも世話になっている。ありがたいと思っている。でも、それでも、一応は、言っておきたいのです。
傘って、雨を防ぎきれてないよね?
ああ、どこからともなく、お叱りのことばが聞こえてくる。そんなことを言うなら、おまえは傘を使うな。ずっと濡れていろ。あるいは、雨の日は外出しなきゃいいだろ。いい加減大人になれ。そんな叱責が聞こえてくる。
でも、それは極論というもの。感情としては理解できますが、もっと理性的に、合理的に、考えましょう。要するに、そのような傘の不完全さを補完してやればいいのです。そうすれば、人類は雨の日でももっと乾いていられるのです。
では、考えてみましょう。
なぜ、傘をさしていても下半身が、とりわけ足下が濡れるのかといえば、その主たる原因は地面からはねる水にあります。とすれば、足が地面から離れていればよい。浮いておればよい。ならば、傘に飛行機能を搭載致しましょう。傘の骨をもっと頑丈にし、円周の部分に小型のジェットを下向きに取り付け、柄の先にあるスイッチを押すと飛べるようにするのです。
そしたら、雨の日は、みんながメリーポピンズ。きっと、街中がメルヘンな光景になることでしょう。街の上空を飛び交う赤、青、黄、緑、紫などなどのカラフルな無数の傘たち。空中で交わされる、ほがらかなあいさつ。梅雨のあいだも、みんなみんな、スーパーカリフラジェイルスティックイクスピアリドーシャスな気分でお出かけができます。素敵ですね。
このアイデアの唯一の難点は、傘にしがみつくのに、かなりの腕の力が必要というところでしょうか。筋トレを、がんばりましょう。
こんにちは。
返信削除「ヒカルの碁」で主人公のヒカルが傘って昔からずっと進化してないよな、ってセリフを言っていたのを思い出しました。
浮遊機能も面白いですが、もっと簡易で出来る進化を考えて特許を取れば億万長者になれそうですね。
初めまして。コメントありがとうございます。
返信削除そういえば、ヒカルの碁でそんなセリフがありましたね。久々に思い出しました。ネットでもちょいちょい傘の改良についてはネタにされているようですが、ここまで進化しないとなると、もう無理なのかもしれないですね。
それでも、ときにはっとするような発明というのはあるものですから、誰から考えてくれることに期待したいと思います。