2013年5月27日月曜日

年齢確認ボタンの意味を考える

世の中には不思議がいっぱいだ。分からないことだらけだ。理不尽、不合理、不可解なことが日常に溢れている。その中でもここ最近突出して不可解なのが、セブンイレブンにおける年齢確認である。

私はたばこを吸うので、ときどきセブンイレブンでもたばこを買うのだが、いつも、レジにて年齢確認ボタンを押せと、店員に命じられる。もちろん、実際の口調はマイルドであり、「年齢確認ボタンを押してください」とかいう言い方なのだけれど、実質的には、「ボタンを押さねばたばこは売らん」ということである。

この措置は、一見すると未成年への酒・たばこの販売を防ぐための常識的な方法に思えるが、しかし、具体的な状況を考えてみると、とたんによくわからなくなる。私たちは迷宮へと誘われることになるのだ。考えてみよう。

もし客が、二十歳以上かどうか微妙であれば、店員は身分証明書の提示を求めるなどして、しっかりと客の年齢を確かめねばならないはずだ。きっと法律的にも、店側にはそうした義務があるであろう。そもそも、未成年がたばこを買いにきたのだとすれば、その時点で、そいつは自分の年齢をごまかそうとしているはず。だから、二十歳以上ならボタンを押せと言われても、「すみません。実は十八なんです!」と言うはずがないのだ。つまりこの場合、ボタンを押させるのは意味がない。

また、もし客があきらかに二十歳以上であれば、やはりボタンを押させる必要はない。見ればわかるからだ。

つまり、通常ありうる事態においては、ボタンを押させる意味はまったくないのだ。

だが、しかし、年齢確認ボタンを押させる意味は、どこかにあるはずだ。これは確実だろう。でなければ、客にわざわざボタンを押させるという労を取らせるはずがない。セブンイレブンという大企業が、完全に無駄なことを客に強いるはずがない。

そこで、論理的に考えてみると、あのボタンを押させる意味が出てくるのは、次の三つの条件を満たしている場合のみだということが明らかとなる。

①客が実際は未成年である。
②にもかかわらず、その客は自分が二十歳以上だと勘違いしている。
③かつ、その客はきわめて素直で正直である。


つまり、こういうことだ。


ウィーン。
「いらっしゃいませ」
「ラッキーストライク一つ」
ガタゴト。
「こちらでよろしいですね?」
「はい」
「では、画面の年齢確認ボタンをお願いします」
「え、年齢確認ボタン?」
「はい、こちらの画面上のボタンを、よろしければお願いします」
「二十歳以上ですか、か……あっ!」
「どうなさいました?」
「すみません。僕、十九歳なんです。うっかり忘れてました」
「では、お売りできませんね」
「はい、一年後に出直します」
「またご利用ください。ありがとうございました」
ウィーン。


あるかーいっ!

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