2013年6月3日月曜日

結婚はまぼろしです

結婚できないひとが増えていると聞きます。

統計上も、かつてと比べ、急激に若い世代の未婚率が上昇しているようです。しかし、結婚したいというひとは男女ともに多いようで、メディアでは頻繁に婚活だの集団お見合いだののようすが報道されています。なりふりかまわず、優良物件を血眼でさがすその姿、いかがなものでしょうか。

そもそも、結婚というものにそこまでの価値があるのか。少し世の中を見渡せば、容易にあるとは言えないでしょう。結婚しても、夫婦喧嘩がたえなかったり、相手のアラばかりが見えてきたり、姑にいびられたり、子どもがひきこもりになったり、世界から戦争がなくならなかったり、つらいことばかりではありませんか。

思うに、世の中のひとびとは、結婚しなきゃという空気に飲まれている。恋人が欲しいというのもそうです。世の中で、みなが恋人を欲しがるから、ぼくもわたしもと、流されているだけなのです。ジャック・ラカンいわく、「欲望とは、他人の欲望である」。他人が結婚や恋愛を求めるから、のせられているだけなのです。いわば、共同幻想なのですそんなものは。

たとえば、あすから急に将棋ブームが巻き起こったとします。世の中は将棋の話題一色です。学校でも職場でも、休み時間には将棋の話ばかり。テレビをつけても、朝から晩まで将棋番組です。報道ステーションのキャスターは、古館さんから羽生さんに交代。しかも、ニュースはすべて将棋関係です。AKB48のニューシングルは「歩と香車ゲット」です。将棋の知識やつよさこそが、人間としてもっとも重要なものであるという風潮になるとします。そしたら、きっとあなたも将棋のルールを覚えたり、上達をめざすようになるはずです。少々値の張る将棋盤を買うかもしれません。

結婚も同じこと。そういう風潮だから、したいという人が多いだけなのです。

ほんとうの人生は、そんな幻想の先にはなく、ただ、日々の生活の中にしかありません。これは今だけ。ただの場つなぎ。ちょっとしたステップ。そう思って、きょうしていたことが、人生そのものなのです。よりよい明日など、永遠にこないのです。

と思えば、しあわせな結婚を夢みてかけずり回るひとたちが、実に浅ましく見えてくるではありませんか。他方、オタクと呼ばれて蔑まれている男性たちが、むしろ立派に思われてくる。かれらは、何かのためにアニメをみたりフィギュアを買っているわけではない。ただ、いま、そのときどきに楽しむというだけなのです。オタクはいまを生きている。すばらしいではありませんか。

なんだか、少々偉そうな口調になってしまいましたが、ただわたしは、おぼろげな未来を夢みて苦心惨憺するよりも、いま手もとにあるしあわせを大事にした方がいいのではないかと、そう思ったのです。所詮、結婚など夢幻のたぐいです。恋人だなんて、そんなもの、この世にはおりません。街で見かけるあれは、みな幻覚なのですよ。

そう、みな実体のない、まぼろし、夢、幽霊、蜃気楼、副作用、ふふ……ふへへへ……。

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