2013年12月19日木曜日

原稿用紙換算枚数について考える

さて、新人賞に小説を投稿したことのある方ならだれでも一度は悩んだであろう問題がありますね。そう、原稿用紙換算枚数というものです。これが実にクセ者なのです。

昔、実際の400字詰めの原稿用紙に作品を書いて投稿していた頃は何の問題もなかったのでしょうが、もうだいぶ前から執筆はワープロやエディタとなっています。となると、このデータを原稿用紙の枚数に「換算」するとき、厄介な問題が出てくる。一言で「換算」といっても、いくつかのやり方が思いつくのです。


具体的には、以下の三つで迷うでしょう。

1:ワードなどで字数カウントし、これを400で割る。

2:原稿をいったん20字×20行の設定にして、そのページ数を数える。

3:募集規定が30字×40行の場合、これを原稿用紙3枚分と考える。

まず、一つ目のやり方はアウト。これだとスペースや空白がすべて無視されてしまいますからね。そういったものも含めて作品であり原稿なので、このやり方は論外。問題は二つ目と三つ目。

どちらかというと、2の方が妥当な気がします。「原稿用紙に換算」というのを字義通り取れば、このカウントの仕方がベストのはずです。ただ実際、ワープロ原稿での応募となると、30字×40行とかの指定が多い。ならば、この指定に従った場合の原稿一枚を原稿用紙3枚と数える方がわかりやすい気もする。なので、このやり方を推奨する方もおります。

はゆま荘
そもそも、新人賞は大体募集過多の状態で、それを裁く選考側の人員は下読みも含め常に不足気味だ。そして募集媒体はこのIT時代でも紙ベースのところがほとんど。一次選考や 二次選考の段階で、いちいちそれを電子スキャンするだろうか? また、さらにそれをわざわざ面倒な[20字×20行に直すやり方]……の手順を使って、原稿用紙換算するだ ろうか? そんな暇はないはずだ。
下読みの仕事はまず原稿を落としふるいにかけること。内容については、どうしても主観的な好き嫌いが入るが、枚数制限ならいやおうなしの客観的な基準だ。引っかかっているものがあれば、これ幸いと落とすだろう。そして、数少ない客観的な基準については、出来るだけ単純に、すぐ判断できるものにするはずだ。
 原稿用紙を受け取り、最終ページ番号を見る。40×40で、105ページ。あら~、5ページ、原稿用紙換算で20枚オーバーしてるね。はい残念でした~

実にもっともな意見です。しかも、この方はすでにデビューされているプロなので信憑性があります。3の方法が正しいのか……?

ところが、です。だとすると大きな問題が出てくる。「手書きでも印刷でも、どっちでも受け付けるよ」という新人賞の場合、どちらで応募するかによって、実質的な原稿の下限・上限に違いが出て来てしまうのです。

どういうことか。

同じ分量の作品でも、実はやってみると、3でカウントした方が「枚数」が多くなるのです。たとえば、私の手許にある自分の原稿でやってみた場合、20字×20行のレイアウトにすると306枚ですが、30字×40行の1ページを原稿用紙3枚分と考えると、329枚となってしまいます。この差は大きい。もし、「前者なら規定内だけど後者だとオーバー」なんてことになれば由々しき問題です。まったく同じ作品なのに、原稿用紙に書くかワープロ原稿にするかで応募の可否がわかれるというのは不合理でしょう。

ということで、やはり2の方法、20字×20行に設定してカウントするが妥当だと思います。いちばん素直なやり方ですしね。これまでもそうしてきたし、それで一次二次の選考も通ってるし、きっと大丈夫さ!


2013年12月15日日曜日

エンタメ系新人賞のまとめ

私なりにエンターテイメント系で長編を対象とした新人賞に絞ってまとめています。随時更新。

(最終更新日 2016/01/16)

最新の情報はこちらにまとめ直しました。2018年10月更新。
エンターテイメント小説の新人賞まとめ|10賞の〆切・枚数・応募数


小説現代長編新人賞(講談社)
〆切 1月末   枚数 250-500枚
賞金 300万   応募総数 約800
(一次通過以上するとWEBにて短い選評をもらえるようになった。応募もWEBで受け付けるようになり、変化しつつある賞)


日本エンタメ小説大賞(日本エンタメ小説大賞実行委員会)
〆切 2月末   枚数 300-600枚
賞金 20万     応募総数 約280
(映画の原作となりうる小説であることが条件)


小説すばる新人賞(集英社)
〆切 3月末   枚数 200-500枚
賞金 200万   応募総数 約1400
(エンタメ系では最高峰の賞。有名作家を輩出。二次通過以上で編集部から誌上でアドバイスをもらえることがある)


電撃小説大賞(アスキー・メディアワークス)
〆切 4/10    枚数 250-370(短編は42-100)
賞金 300万など 応募総数 約6500
(国内最大級の新人賞。基本ラノベだがライトな一般文芸でもいけるかも。大賞以外にも複数の賞がある。一次通過以上で選評がもらえる)


スマホ小説大賞(E★エブリスタ)
〆切 5/31    枚数 6万字以上、上限なし
賞金 なし    応募総数 約9900
(大手出版社が多数参加する超大規模な賞。ラノベ、恋愛、エンタメ、映像化賞などさまざまな部門がある)


ポプラ社小説新人賞(ポプラ社)
〆切 6月末   枚数 200-500枚
賞金 200万   応募総数 約600
(ライトでポップな青春ものが多い印象。最終まで編集部が選ぶ)


本のサナギ賞(Discover21)
〆切 7月末   枚数 200-500枚
賞金   50万   応募総数 265
(2014年開始。書店員が選考に参加。受賞作は初版二万部が確約され、電子出版もされる。初年度は一次選考通過が265本中9本という狭き門だった)


ダ・ヴィンチ「本の物語」大賞
〆切 7月末   枚数 250-350枚
賞金 100万   応募総数 約220
(本・物語・作家などが作中の重要なモチーフとなっていることが条件。読者審査員・書店審査員がいる。大賞以外の賞もあり)


野性時代フロンティア文学賞(角川書店)
〆切 8月末   枚数 200-400枚
賞金 100万   応募総数 約900
(規模が大きい割に一次通過率が高い。2014年から選考委員を変更。賞金額は300万から100万にダウン)


小学館文庫小説賞(小学館)
〆切 9月末   枚数 40字×40行で75-150枚(原稿用紙で約300-600枚)
賞金 100万   応募総数 約600
(編集部が選ぶ。受賞作では『神様のカルテ』が有名)


角川春樹小説賞(角川春樹事務所)
〆切 11/25   枚数 300-550枚
賞金 100万   応募総数 約400


松本清張賞(文芸春秋)
〆切 11月末   枚数 300-600枚
賞金 500万   応募総数 約400(?)
(推理・時代小説に限らず、あらゆるジャンルを受け付けている。読者の年齢層が高めの硬派な作品が受賞している印象。だったが第22回は学園モノが受賞した)


暮らしの小説大賞(産業編集センター出版部)
〆切 12/15    枚数 200-500枚
賞金 なし   応募総数 約330
(2013年から開始。衣食住のうち一つをテーマとした作品を募集)



メフィスト賞(講談社)
〆切 随時募集  枚数 40字40行で85-180枚
賞金 なし    応募総数 ?
(どんなジャンルでも可。応募された作品はすべて編集者が読む、持ち込みに近い賞。2014年あたりにリニューアルされ、枚数制限が設けられた)


ボイルドエッグズ新人賞(ボイルドエッグズ)
〆切 年1-2回    枚数 200-500枚
賞金 なし    応募総数 約40
(出版エージェントの村上さんが一人で選ぶ。応募には登録料7,000円が必要。受賞作は競争入札の末、落札されれば出版。しばらく「受賞作なし」が続いている。)

2013年12月13日金曜日

野性時代フロンティア文学賞 一次通過

もはや月一更新のようなありさまですが、どうもこんばんは、清水 Airです。

さて、毎月12日は角川書店の小説雑誌、野性時代の発売日。大学へ行った私は書籍部に赴き、野性時代1月号を買おうとしました。

ウィーン。
「いよぉ、姉ちゃん! 野性時代ひとつ包んでくれる?」
「申し訳ありませんお客様。当店ではそのような雑誌はお取り扱いしておりません」
「て、てやんでぃ! なんで野性時代がねぇんでぃ?」

といったやり取りはありませんでしたが、棚を見たところ、ないのです。他の小説雑誌、文芸誌などはけっこうあるにもかかわらず、野性時代が見当たらない。私は残念な気持ちで書籍部をあとにいたしました。あ、あと、自動ドアでもありません。

次に足を運んだのはツタヤです。大学からもっとも近い本屋さんです。

ウィーン。
「いよぉ、兄ちゃん! 野性時代ひとつもらえるかい?」
「申し訳ありませんお客様。当店ではそのような雑誌はお取り扱いしておりません」
「べ、べらんめぇ! てめぇんとこはTポイントカードっつぅ面倒なもんをまき散らしてるだけかい、ちくしょうめ!」

といった暴言は吐いておりませんが、なかったのです。もしかして、そもそも野性時代なんていう雑誌は存在していないのではないか? そんな疑念さえ脳裏をよぎります。

しかし、最後の希望をかけ、私は大きめの大垣書店へ向かいました。冷たい風をきり、自転車で烏丸通をくだります。

そうしてたどりついたそこで、私はとうとうお目当てのものを発見したのです。

ウィーン。
「おぅおぅおぅ姉ちゃん! はっはー、ここにあったか。ひとつ、いいのを見繕って包んでくんな」
「かしこまりました。当店では野性時代を毎月豊富に取り揃えておりますので、ぜひごひいきによろしくお願いします」
「おぅ、がってんだ。にしても、こいつぁ大漁だな。10冊も積んでやがら」
「ええ。他の店舗に卸すはずの分もすべてうちに回して頂くようにしていますので」
「て、てやんでぃ! 書籍部とツタヤになかったのはてめぇんとこのせいかいべらぼうめっ!」

という会話はしていませんが、はれて、野性時代を入手することができたのでありました。

で、なぜこんなに野性時代を欲していたのかと言えば、去る8月に応募した野性時代フロンティア文学賞の一次選考通過作品が、1月号にて発表されているからです。

ドクンドクン。私は、胸の高鳴りをおさえながら、当該の頁をチェックしました。応募総数は973作品、一次通過は137とのことです。細かな文字で、通過作品のタイトルと名前がびっしり並んでおります。

そうして……あ、ありました! 私の応募した作品のタイトルが!

ということで、晴れて一次選考通過とあいなったのです。いやぁ、よかったよかった。二次通過作品の発表は来月号ですが、そこでもまた、自分の作品のタイトルと名前があればいいなぁと思います。ちなみに私は埼玉生まれ埼玉育ち、京都在住であり、江戸っ子ではありません。