2016年2月16日火曜日

と言いますか

以前、「を入れ言葉」について書いた。不必要な「を」が蔓延していて不愉快だ、という趣旨のことである。これについてはツイッターでも書き、多くのかたにリツイートされた。みな気になっているのだろう。

これと同程度に気になるのが「と言いますか」である。バリエーションとしては「と言うか」「と申しますか」があるが、とにかく、このたぐいの表現が気に障る。

別に、本来の用法のように、「Aと言いますか、Bです」と、こう使ってくれれば文句はない。たとえば、何々は好きですかと聞かれ、「好きではないと言いますか、率直に言って嫌いです」のように使うのならいい。しかし、このごろ「と言いますか」は、このあとに何も伴わずに出てくるのである。レポーターがだれかに質問するとき、文末が「と言いますか」だったりする。そこで終わって、相手にマイクを向けたりする。

日本語では、とかく断定を避ける言い方が好まれる。「と言いますか」の濫用もこの流れの一環だろう。たしかに便利ではあるが、どうにも気持ちが悪い。

さらに言えば、こうした大人のよく使う変な言葉というのは、なかなか批判に晒されにくいという状況もある。いわゆる学生言葉というのは、大人たちによって即座に否定され、矯正されていく。「おれ的には」「っぽい」「って感じ」「みたいな」などは社会人となるにあたり、容易に刈り取られていく。だが、大人側が使いはじめ、一般化した変な言葉というのは、それを批判する層がないものだから、歯止めなく蔓延していくことになる。

曖昧な言葉よ、滅びろ。

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