2016年3月12日土曜日

人間を型にはめて見る

三日ほど前、新作の初稿が完成した。思えば新しい作品を仕上げるのはもう一年半ぶりくらいになる。だいぶ間が空いてしまったものだ。

波はあれど、やはり書けば書くほど技術が向上している。以前は後半になるとかなりバテて、最後のほうはとにかく埋めることに必死だったが、今回はこころに余裕があった。終わり方はどんな感じにしよっかなーと、鼻歌まじりに本棚から名作を十冊ほどひっぱりだし、いろんなパターンを比較検討する余裕すらあった。いいことである。

ストーリーについてはかなり理解が進んで来た。だいたいどんなふうにすれば10万字程度の話を転がせるか、感覚として染み込んで来た気がする。ただ、中盤は若干こまった。そして、そのこまった原因はおそらく、キャラクター造形のつたなさにある。

もともと私は他人への興味が薄い。ひとの顔と名前がなかなか一致しない。たぶん、あんまり見てないんだろう。しかし、魅力的でリアルで一貫性のあるキャラをつくりあげるためには、人間の類型について知らねばならない。

というわけで、今後は推敲を進めつつ、この方面の勉強をしていきたい。とりあえずは岩波文庫で去年重版がかかったテオプラストス『人さまざま』を読んでいる。普通の人間の類型、とりわけ欠点についてエッセイ風に書かれた最古の書らしい。学校教育なんかでは、人間を型にはめて見てはいけないと言われるが、創作においてはむしろ逆。とことん人間を型にはめて見る見方を習得していきたい。

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