2016年5月5日木曜日

コンビニの廃棄

コンビニのバイトを始めてもう三ヶ月近く。仕事はだいたい覚えたし慣れた。これまでいろいろなバイトを経験したが、歴代でも一番か二番の楽さである。週に一度はJKと同じシフトに入って雑談をすることもでき、つくづくいい仕事を選んだものだと思う。

さてしかし、この楽バイトにも一つ、ちょっとだけだが、厭な点がある。それは、食品の廃棄だ。

日曜日の午後六時、ワンオペで働いている私はカゴを手に食料品のある棚へ向かう。そして端っこから商品を手に取り、賞味期限が二時間を切ったものを次々にカゴへ放り込んでいく。おにぎり、弁当、サンドイッチ、寿司、サラダを、それはもう、どさどさと、溢れんばかりに棚から取り去ってゆく。そしてそれらをレジにて廃棄登録し、バックヤードにあるゴミ箱へ、文字通り「捨てる」のである。

この作業、けっこう良心が痛む。

小さい頃から、食べ物を大切にするようにと教育されてきた。お茶碗についた一粒の米も残さず食べなさいと、農家の方々が精魂込めて作ってくれたんだからと、大人たちにそう言われ、食べ物を大切にしようと思ってきた。もったいないの精神は、ほとんどの日本人同様、私の中にも根を張っている。

なのに、このバイトでやっていることは何だ。農家の方々が精魂込めて作った食べ物を、まだ全然食べられるのに、ゴミとして捨てているのである。業務用の大きなゴミ袋に溜まった無数のおにぎり、お弁当、サンドイッチ、サラダを見て、良心がズキズキと痛む。

あれだけの量の食品があれば、余裕で大人五人くらいは一日生きて行ける。食事の量としては十分だ。他の時間帯の廃棄も含めれば、人間十人分くらいが食えるだろう。コンビニ一店舗の廃棄で、毎日十人が食事できると考えてみる。現在、全国にはコンビニが五万店あるという。とすれば、廃棄だけで五十万人の食事が賄えるわけである。

それを、すべて捨てているのだ。


コンビニで食べ物を買った人は、その買ったものを、ありがたくすべて食べているのかもしれない。もったいないの精神で、食べ物を大切にしているのかもしれない。だが、流通のシステムの中で、膨大な数の食品が粗末に扱われている。なんだか空恐ろしい。

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