2016年6月16日木曜日

女はひとの悪口ばかり言っている

ようやく新作に着手した。見切り発車であることは否めないが、手を動かすことによって何かが思い浮かぶこともある。実際、いろいろ思い浮かんでいる。このあたりの機微は大学受験の数学で培った感触が役に立つ。何事もがんばっておくものだ。

さて、以前にも書いた通り、今回の作品は自宅以外で書いている。少々遠いが、三十分ばかり車を走らせ、無料で使える地域のコミュニティスペース的なところやタリーズなどを利用している。とくに前者はついこのあいだ初めて足を運んだのだが、大学のキャンパスにある建物みたいで、実に居心地がいい。税金も払わずにこんなに利用していいのかと思うほどである。

そういう公共の空間というのはほどよく騒音があるからいいのだ。ほどほどの物音、話し声、BGMというのは想像力を掻き立ててくれる。筆の運びをなめらかにしてくれる。ただ、ひとつ気になることがある。それは、女性たちの会話の内容についてだ。

私が小説を書いていると、たいていどこかの席で女性たちが三、四人集まって雑談をしている。主に年配の女性たちだ。別に、雑談をすること自体は構わない。コミュニティスペースもカフェも、そういう場所なのである。だが、少々気になるのは、彼女たちが例外なく、いつでもどこでも、だれかの悪口に花を咲かせているということだ。

これは驚くべきことである。私は別に、特定の集団といつも鉢合わせるというわけではない。私の近くにすわる人は決まってはいない。さまざまな人がいる。だが、みんながみんな、それが女性でありさえすれば、共通の知人のことを悪く言っているのである。

「あの人はちょっと常識に欠けてる。配慮が足りない。こうするのがまともでしょう? あたしあの人に言ってやろうかと思うの。こんなこと言われてびっくりしちゃった。どうかと思うわよ。もっと他に言い方があると思わない? あたしの身にもなってみてよ。もう付き合ってらんない。あれじゃ通用しないわよ——」

といった文言がたえず聞こえてくる。それはもう、恐ろしいものである。

私の経験上、男同士で集まっても、だれかの悪口が主題となることはなかった。ときにはだれかのことを話には出すが、そしておかしな点を指摘することもあるが、それはあくまで話のネタとして、面白いと思うからしゃべるだけだ。素で悪口や陰口をたたくことはまずない。もし本当に問題があると思ったり、嫌いな人物がいれば、だれかとそれについてしゃべることはないだろう。ただ、個人的に相手の不利益になるように動くか、付き合いをやめるだけである。

男女の差についてはさまざまに言われるが、男の私にとっていちばん不可解な女の習性は、集団で悪口を言うというものかもしれない。

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