2016年6月9日木曜日

どこで書くか

小説を書いていると、何を書くか、どう書くかということを考える。対象と、方法である。しかし、もうひとつ重要なことがある。つまり、どこで書くか、だ。環境である。

ここ二、三作について言うと、私はアイデアを出すときは喫茶店やファストフード店などを利用し、本編の執筆は自宅でやっていた。ある程度まわりがざわざわしていたりBGMがあった方がアイデアを出すのにはよく、場面をシミュレーションしたり文章を書いたりするには集中できる自宅の方がよかった。

ただ、それが正解とも限らない。四つ前、五つ前くらいの作品は本編を書くのにもカフェなどを利用しており、それはそれでうまく行っていた。とりわけ発想の飛躍であるとか執筆スピードに関しては、少々気が散るくらいの環境の方がよかった。静かな自宅で書く場合、ひきしまった文章は書きやすいのだが、逆にスピードが遅くなる。それに、どう表現したらいいのか、集中できすぎてやりにくかったりする。

ここが勉強と違うところである。私はマクドナルドやカフェで勉強するということができない。やろうとも思わない。だが、創作の場合はケースバイケースになる。経験上、作品のトーンや気分によって変わってくる。だから、普遍的な「執筆に適した場所」というのは存在しないようである。

今日は試しに、よく行くショッピングモールに入っているタリーズでやってみた。席数もさほどない、小さな店舗だ。その窓際の席で、ノマドワーカーよろしくマックを広げてみたのだが、冒頭の一文が書けた。なかなか自分でもいいと思える一文が出てきたのだ。おそらく、自宅にいたら書く気にすらならなかったし、書こうとしても出てこなかったであろう一文が、だ。

今度の作品はたぶん、カフェなど自宅以外での執筆が向いている。しばらくその方向でやってみようと思う。コーヒー代がかかるのが痛いけれども。

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